痩せることは…、痩せすぎることは、わたしのできることの中でいちばん得意なことだった。「わたしってすごく保護された生活を送ってきたのかもしれない」先生は2杯目のコーヒーを淹れるために立ち上がった。「そのことを感謝してないわけじゃない。だけど…」握っていた指先を見つめた。部屋は日差しで溢れているのに、手足がなかなか温まらない。「だけど、そのせいで失ったものがたくさんある」

ピザやパスタやドーナツを、一生口にできないものと心に決めない方が難しい。「10年だ。誰かをよく知るのに充分な長い時間だよ。その間に、僕は君のいろんな様子を見てきた。気分が高揚しているときも、落ち込んでいるときも、上機嫌なときも、機嫌がひどく悪いときも、およそ考えられるかぎりの状況の君を。食べ物をめぐるほかの心の傷も含めてね。それでも、僕は君本人ではないんだよ。君の中に入り込んで、君が考えているとおりに考えたり、君の気持ちをそのまま感じることはできない。君はほんとうに問題を抱えてる。そのことは否定できないよ」指先でわたしは本のページの角をぱらぱらとめくった。うんざりしたようなずぶ濡れの気分が、苛立ちにとってかわっていた。どっと疲れを感じた。会話を続けるには疲れすぎていた。すべてが昨日のことのようなのに、こんなに時が過ぎただなんて信じられない。

時間切れだ。連休終わりの2日間で過食。ブリトーハムチーズ、食パンバターとはちみつパルスイートがけ、ヨーグルトジャムがけ、バニラアイス、ミルクティ、コーンスープなどなど。セブンの北海道牛乳パンは今日で連続5日目。どうしていつまでもこんなものがおいしいんだろう?